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理由 [なじょしたものか]

先に書いたとおり、
先週、我が養護教諭特別別科だけの交流会が持たれた。

その一週間前、体育科を目指す方たちと合同の交流会が学内であり、
そのときにも、話して思ったことだ。

話題の中心は「なぜ養護教諭を目指そうと思ったか」に尽きた。

前々々職(いくつ職歴積めば気が済むんだ)のときにやっと気がついたが、
私が看護師資格取得当初から、依然として看護師不足は解消されないらしい。
しかし、資格取得者は年々伸びており、
つまり看護師資格を有しながら、勤務せずにいる「潜在看護師」が増えているのだそうである。

別科生のうち、私以外は全員私より若い人たちだ。
聞けば、あまりの激務に体調を崩し、
辞めさせてもらう口実にと受験した、という人がひとりではなかった。

私の頃は「三交代」といって
日勤と、日勤終了から真夜中までの準夜勤、準夜終了から日勤が来るまでの深夜勤の
三つの勤務時間に分かれていた。
若いころは、割高な夜勤給に目がくらみ、
年配の看護師から夜勤をもらっては、師長に呼びだされて注意を受けていたものだ。
つまり、夜勤を多くこなしていると知らず知らずに身体に負荷がかかり、
看護師の平均寿命を下げてしまうから、というのが根拠であった。

私が、結婚を機に退職と考えるようになったあたりから
「二交代」の話題が出始めていた。
日勤と、夜間勤務の二交代である。
現別科生のなかで、「二交代で月10回の夜勤をこなしていた」という人がいてびっくり。
これは、三交代的基準で夜勤数を換算すると二倍の20回ということになる。
私が若いころの師長が聞けば、怒りすぎて卒倒しそうな夜勤数である。
当然、これは話してくれた彼女ご本人が望んだ勤務体制ではなく、
慢性的に、若者に夜勤の比重がのしかかっているらしかった。

現場は、非常に多くのことを看護師に教えてくれる。
日中と夜間で、人は違った様相を呈するものであること、
何故か、事故や急変が起こる時間帯がだいたい決まっていること、
日中の看護如何で夜間業務のスムーズさが決まってくるし、
逆もまた然りで、夜間の看護如何で日中の業務のスムーズさが決まってくること、
だから、次の勤務者のことを考えながら、
最小の労力と最小のコストで与えられた勤務時間を乗り切る、
それが交代勤務の醍醐味でもあろう。
その経験が、ステップアップの際に重要な貯金となってその看護師を生かす。

しかし、その経験を積む前に、
「こりゃたまらん」と辞職せざるを得なかったのだろう。
残留した看護師にはますます負荷がかかって、
申し訳ないが・・・と話してくれた彼女はうつむきがちだった。

病むひとの生活すべてを支えるという、
看護師の使命はどうなっていくのだろう。
フローレンスが聞けば何と答えてくれるであろうか。

雪解け水で川はごうごうと音を立てているのに、
日陰には溶け損ね黒くすすけた残雪が目立つ、上越の我が住処である。

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コメント 4

ryang

やはり、人間昼起きて夜は寝るもので、これを狂わせた不規則な生活はなかなか難しいものがあります。
そして、目指すものが高い者も目指すものなどなにも無い者も同じ服を着て同じ仕事をしていき、見かけ上は同じ。目指すものがあればあるほど、「頑張り損」を実感する世界でもあります。激務の中、人の痛みに敏感である人ほど患者さんのことを考え、やりたいことがたくさんあるのに、他にもやらなければならない雑多なことに忙殺されていく、そういう一面もあるなぁと思いました。
by ryang (2011-04-25 12:12) 

にしにし

 ただでさえ激務なのに、そういうがっかりしたりムカッとした感情が疲労を増幅するよねぇ。
 今って月何回の休日かなぁ。私のころは8回だったのね。夜勤20回分と休日8回じゃ、残る日勤が2日か3日ってことでしょう。これはだめ。ぎりぎり、日勤と夜間は同数くらいにおさえたいですね。
 じりじりとこういう状況になって来たんでしょうけど、私のように「浦島花子」状態で現場を知ると、「これじゃあ辞めるよなぁ」と思わざるを得ません。
 でも、専門学校の3年間なり、大学の4年間なりもったいないですよね。助産師はどうかな。保健師も、外から見る限り、なかなかの激務です。

by にしにし (2011-04-30 08:26) 

ryang

うちはカレンダー通りの日数分の休みです。
7:1のために必死で人を確保しなければならず、「猫でも杓子でもいいから人(の名前)がいればいい!」という感じで、ある程度給料が発生しつつこれは能力給でもなんでもないので、「そういう人」が多く集まる現象がおきます。
勤務体系もそうですが、働くという概念がない人も多く、そういう人をのさばらせておくしかない状況を作り上げるシステムになっているので、辞めて欲しくない人がどんどん辞めていくのだと思います。完全に失敗していることに気づいていないんですね、看護協会。
by ryang (2011-05-01 01:33) 

にしにし

 働くという概念がなければ、どういう気持ちで病棟(あるいは外来)に来ているのかな。雇い入れた担当者がいい加減なことを言ったんでしょうか。プリセプターはやりきれないですね。
 前職で一緒に働いたスタッフで「簡単な仕事だから、と言われて来た。全然簡単じゃない。」と言っていた人がいましたが。彼女は幸いきっちり仕事をこなすタイプでしたが、もっと条件のいいところへ引き抜かれて行ってしまいました。
by にしにし (2011-05-04 06:36) 

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